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2010-11-04

エンジニアの楽園を見たッ!クリアコードさんの方々とお会いした話。

先月、株式会社クリアコードの皆さんが俺が住む栃木県小山市にオフィスを構えられるということで、開設記念パーティーのために総出で小山へ来られた。東京をベース拠点とするクリアコードさんがなぜ小山に!?という疑問を胸に抱きつつ、普段ギークとの会話に餓えている俺は「このチャンスを逃すな!」と言わんばかりにTwitterで声をかけて、ノコノコと乗り込んでしまったのであった。

俺は、クリアコードさんのことはRuby会議2010でるりまサーチのセッションを聞いたときに初めて知った。その後、Xchat-RubyプラグインとGroongaを使ってIRCの履歴を全文検索出来るようにしたときにrroongaを使ったり、さらにSennaストレージエンジンの作者である池田(mir)氏が社長である須藤さんの技術力を絶賛していたこともあって、かなり興味を持っていた。今日は、そんなクリアコードさんの皆さんと会って伺った興味深い話を紹介しようと思う。

最強Rubyコミッター現わる!?

パーティーは新オフィスの近くにある焼肉屋で行われていた。店内に入り、クリアコードの皆さんが居るテーブルへ目を移す。全部で8名。全員男ッ!!皆さんとは初対面なのであるが、その中に約一名見覚えのある顔が・・・

Rubyで非常に多くのソースコードをコミットしているともっぱらの噂の中田氏!!である。

なんと最近クリアコードに入社されたとのこと。以前は流しのプログラマーだったそうだ。(参考:Rubyist Hotlinks 【第 9 回】 中田伸悦さん)社長の須藤さんもRubyのコミッターであるが、これでクリアコードさんが抱える(?)Rubyコミッターが2名に。特筆すべきはそのコミッター率の高さだ。社員の方は6名だそうなので、そのうち2名がRubyのコミッターということは、全社員の33%がRubyのコミッターという会社が他にあるだろうかッ!?(いや、あるまい。反語)

挨拶もそっちのけで呆気にとられてしまった。

クリアコードの優秀な面々

クリアコードさんはRubyのコミッター率33%という驚異的な会社であるが、Rubyだけをやっているワケではない。むしろ皆さんのスキルセットは実に多彩だ。皆さんTwitterをやってらっしゃるので、Twitter IDと共に紹介しようと思う。

  • 足永さん(@Takuro_Ashie)・・・SCIM-Anthyなどで有名だ。仕事ではデジタルサイネージや組み込み系を担当。
  • 下田さん(@piro_or)・・・Mozilla界隈で有名なPiroさん。Firefox/Thunderbirdのサポートとアドオン開発を担当。
  • 小野寺さん(@ryoqun)・・・超期待の若手。Rubyとgroongaを使った検索サイト開発を担当。
  • 中田さん(@n0kada)・・・言わずと知れたRubyの巨匠。PDFからのテキスト抽出ツールやgroongaベースの全文検索システムを担当。
  • 須藤さん(@ktou)・・・社長。プライベートではRuby関連(本体、Rabbit、rroonga、GNOME2-Ruby)やテスティングフレームワーク(Cutter、Pikzie)などを作成する豪傑。だが見た目はソフト。
エンジニアとしてはもう一方アルバイトの早水さん(@hayamiz)を加えた6名である。そうそうたるギークの顔ぶれである。一人ひとりが10人力の即戦力であり、お互いに刺激しあってスキルを磨ける環境であることは容易に想像できる。エンジニアが腕を磨くには最高の職場だと言えよう。

営業はただひとり

そして興味深いのが営業の南さんの話だ。以前は銀行に勤められていたそうだが、銀行業の矛盾に嫌気がさしてクリアコードに来られたとのこと。南さん曰く、
本来お金のないところへお金を貸すのが銀行の役割のはずだが、確実に回収するために、お金が余っているところへわざわざ貸すということをする。当然相手は本来不要なお金なのでちゃんと返してくれる。そうやって利潤を得ることで銀行は何の役に立っているのか分からなくなった。
とのこと。もちろん全ての銀行がそうではないだろう。だが、銀行業などまるで知らないギークな俺にとっては、非常に興味深い話であった。

会社規模が小さいからかも知れないが、開発以外の一切の業務、つまり営業、総務、経理的な仕事などはすべて南さんが担当されているとのこと。逆に言えば南さん以外は全員がエンジニアなのだ。営業活動を「利益を産みだすエンジン」と見るか「コストセンター」と見るかは会社次第だろうが、クリアコードではどうやら後者だと考えているのではないかと筆者は思う。エンジニアこそが利益の源であり、エンジニアの稼働率さえ満たしてさえいれば事業的には成功なのだ。そう考えると、営業がたった一人という体制はスリムで無駄がなく、効率が良いと言えるだろう。そのような体制を敷くことができるのは南さんの手腕も然ることながら、南さんが先の述べたような熱い気持ちの持ち主であるからではないかと、俺は思う。

まとめ 〜 そこはエンジニアの楽園だった。

伺った話によると、実質的なエンジニアの稼働率は7〜8割程度なのだそうだ。割と余裕がある。その空いた時間でフリーソフトウェアの開発や研究など、自分の興味があることをするというのがクリアコードさんの社風なのだそう。南さんがとってくる仕事は、各人が得意とする分野の開発案件(例えば下田さんにはFirefox拡張の開発)や、フリーソフトウェアのサポート(例えばSambaなど)がメインだという。フリーソフトウェアのサポートは全員でやっている(手が空いている人が担当する)そうだが、基本的には各人の能力に合わせて無理のない仕事が配分されているんだなと思った。

先日、Rackspace社の社員が、「Why I’m a Racker – Chris Anderson」というブログエントリの中で「仕事に合わせて弱点を克服するのではなく、本来の能力を活かせる役割を与える。だから俺はRackspaceで働いているんだぜッ!」というようなことを綴っていたが、クリアコード社もまさにそんな感じだろう。そこには保守的、官僚的な考え方はなく、社長を中心として皆が日々技術を磨いて己を伸ばし、その時の能力に応じた仕事がある。Rackspaceとはアプローチの仕方は違うと思うが、結果的に全員が自分の強みで勝負できる環境になっているんじゃないだろうか。

若い会社なので福利厚生や待遇は大きな会社ほど良くないかも知れない。だがどちらがエンジニアにとって幸福な場所なのだろう。クリアコードさんは、まさに全員が高いモチベーションを維持できるエンジニアの楽園ではないだろうかと思った次第である。

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